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センメルワイス - ブログ

19世紀のヨーロッパでは産褥熱で亡くなる妊婦が多かった。しかも助産師がかかわった分娩ではその確率は低く、医師や医学生がかかわった分娩でその確率が多かった。考えられる可能性を全て検証し、ついにその原因を突き止めたのがハンガリー人医師のセンメルワイスだった。

それは医者や医学生は午前中に解剖に携わり、午後に分娩に立ち会ったことによって、死体に付着していた細菌を妊婦に感染させていたのだった。当時はまだ細菌の存在が知られていなかったので、手洗いするという習慣がなかったのだ。

しかし当時センメルワイスの考えは世間から認められることはなく、功績が認められたのは彼の死後であった。

今では常識となっている手洗いであるが、当時彼の天才的な発想を理解できるものがいなかったのだ。彼は世に認められることなく46歳でこの世を去った。今でこそ「手洗いの父」とか「感染制御の父」とか言われて、2018年には生誕200年を記念して日本赤十字医療センターにその胸像が建てられていますが、独創的な発想というのは世間から認められるには時間がかかるものなのですね。

ところで最近の日本はコロナのパンデミックの前から「除菌、除菌」で見えない敵をシュッシュで退治しようという風潮が強いように感じます。それによって手荒れをしている女性が外来に来た時に、その考えを変えさせるのも時間がかかります。ここにきてコロナ騒ぎで多くの人が今まで以上に手洗いと手指洗浄をしています。もちろん手荒れになる人も多くなっています。テレビでも手洗いを徹底することを毎日報道しています。しかしコロナ感染に手洗いの効果を検証した報告はまだ出ていません。おそらく手洗いの効果に対して否定的な結果が出ても、もうこれだけ一億人の脳の中に手洗いが重要だと刻み込んでしまったら、それを変えることはできないと思われますので、報道はされずに埋もれてしまうでしょう。

センメルワイスが日本の現状を見たらどう思うのかなあ、と一人思いを巡らせています。