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研究者は市井に出よ その1 - ブログ

今では多くのランナーが「長距離を走るときにはH2ブロッカー飲むといいよ」と言いますが、そのことを最初に世の中に知らしめたのが、名著「あぶないランナー」であることは、賢明な読者ならだれでも知っているはず。知らなかったらこのブログの初めから読み直さなければなりません。

発見のきっかけは1995年のトランスアメリカフットレースでの出来事でした。ここで詳細を語るつもりはありません。
「名著」を出版して間もなくのことです。あるランニングドクター(大学病院の基礎研究に所属していたと記憶しています)が「長距離走るときに胃がおかしくなって食欲が全然なくなるのは、ランニング中は交感神経が優位になって、消化管の蠕動運動が落ちて、胃が単なる”袋”状態になってしまい、飲んだもの食べたものがその”袋”の中でチャポンチャポンとなっているからなのです」というのです。さらに「その状態を改善するためにおなかをベルトで強めに締めることをお勧めします」と・・・・。
詳細はコメントしませんが、今こういうことを聞いて信じる人はいないと思いますが、当時はおなかで何が起きているのかわからず、みんな悩んでいたのです。これが「急性胃腸炎」ないし「急性胃粘膜病変」が起きているということで、胃の不快感、食欲減退、その後の真っ黒の便、すべて説明がついたのです。ヴィネのこの考えを提唱するにあたって根拠はすべて状況証拠で、科学的裏づけはありませんでした。しかし、この問題はほぼ100%近く解決しました。

研究者は医学的根拠を求めたがります。確かにそれはとても重要なことです。しかしその根拠がだいぶ時間がたってあとから説明がついてくるというものもあります。典型的な例は漢方薬です。何千年もの間の経験で使われてきたのです。最近になってその効果のエビデンスが積み上げられてきつつあります。西洋薬でもアスピリンが血液サラサラにする効果があるというのは、科学的根拠があって使われ始めたわけではありません。慢性副鼻腔炎に対するクラリスロマイシンの少量長期投与が効果がるというのも、ある開業医が使っていて、その患者が「効果ある」と別の医師に言ったことが日の目を浴びることになったといわれています。今ではこの治療法が保険適用もされています。

実はヴィネが言いたいのはこれから先ですが、長くなったので次に回します。

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